かのこ

kanoko

かのこは、身近な植物の姿を、透ける色の重なりと細い線によって軽やかに描きとめるアーティストである。花や葉を写し取るのではなく、それらに触れたときの明るさや手ざわりを色のかたちとして取り出し、白い余白の中にそっと置く表現者である。

その表現は、輪郭をはみ出して重なり合う半透明の色面と、茎や葉脈をなぞる繊細な線との組み合わせによって成り立っている。ブルーやコーラル、マスタード、やわらかなピンクといった色が、植物の形とは少しずれた位置に置かれ、重なった部分に新しい色が生まれる。描き込みすぎない線が、色面の自由さを静かにつなぎとめている。

作品の多くは、広い余白の中央にひとつのモチーフを浮かべる構成をとる。背景を語らないことで、一枝の花や一枚の葉が、部屋の中のどこにでも馴染む小さな存在として立ちあらわれる。

かのこの作品世界は、日々の暮らしのそばにある植物を、少しだけ軽く、明るく見せてくれる表現である。重ねられた色の透けぐあいが、見る者の部屋に、窓を開けたあとのような風通しを残す。

コレクション: かのこ