サイバー幻想の旅路を描く、新時代のデジタル・アーティスト

グリッチノイズ、ネオンカラー、そして都市の残像——

Zyberionの作品世界は、現実と仮想、ユートピアとディストピアのあわいに咲く幻影のような空間だ。

鮮烈なピンクやブルー、サイケデリックなグリーンが交錯するその色彩は、まるで視覚そのものにノイズをかけたかのように、観る者の感覚を揺さぶる。

デジタルならではの緻密な描写で浮かび上がる人物たちは、サングラスやヘッドセットを身につけ、無機質な都市のなかに佇む。人間のようでいてどこか人工的、そのギャップがクールでユーモラスな印象を残す。

Zyberionが描くのは、「ひとつ先の現実」。

『ノイズの庭』や『雨とノイズのあいだで』など、タイトルからも滲む詩的なセンスは、作品全体の叙情性を高めている。

それは、ただのサイバーパンクでもなく、単なるポップアートでもない。

ネオンの皮膜の向こうに広がる、もう一つの静寂と狂騒の世界。その唯一無二のサイバーヴィジョンが、国内外のファンを惹きつけてやまない。

無限に拡張するデジタルアートの可能性を、Zyberionは静かに、しかし力強く示している。

そして、その旅路はまだ始まったばかりだ。