ひだまり

Hidamari

ひだまりは、対象の姿かたちよりも、そこに流れている温度そのものを描くアーティストである。写実的な再現や説明を主題とせず、輪郭を筆致の流れへ置き換えることで、正確さの代わりに、確かにそこにあるという手触りだけを画面へ残す。描くという行為を、対象を写し取る作業ではなく、対象の温もりを絵具の厚みへ移し替える作業として扱う表現者である。

その表現は、絵具の厚みを残した太いストロークによって支えられている。輪郭線は引かれず、形は筆が走った跡そのものとして立ち上がる。境界は白や淡い色を縁に重ねることでやわらげられ、描かれるものと周囲の空気は硬く隔てられることなく、ゆるやかに溶け合っていく。細部を緻密に追うよりも、ひと筆の厚みと速さに情報を託す判断が、一貫して選ばれている。

ひだまりの制作は、暖色を体温の指標として扱う姿勢に貫かれている。コーラルピンクを基調に、バターイエロー、アプリコットオレンジ、朱赤、オフホワイトが層になって重なり、高明度の暖かな色域をつくる。そこへくすんだ青灰がわずかな寒色として差し込まれることで、甘さに沈まない引き締まった構造が生まれる。

ひだまりの作品世界が扱うのは、日の当たる場所でまどろむような、緊張のほどけた時間である。物語を語らず、劇的な瞬間も選ばない。ただそこにある温かさを、筆致の厚みと暖色の階調だけで成立させる点に、ひだまりというアーティストの核がある。

コレクション: ひだまり