霞城 澪

Kasumijo Mio

霞城澪の作品は、静けさの中にひそむ「気配」を、極限まで削ぎ落としたミニマルな構成によって浮かび上がらせる。色彩を排し、光と影だけで描かれるその画面は、見る者に言葉を使わない深い対話を促す。

黒と白のあいだにある無数のグレー。そのわずかな階調差に宿る湿度や体温のようなものが、ただの静物を超えて、存在そのものの輪郭を描いていく。花びらのエッジに残る光の反射、闇に沈む質感の密度。それらすべてが、「何かを語らずに在ること」の強さを物語る。

被写体は、バラやシンプルなオブジェクトなど静かな対象が多いが、象徴や感情の押しつけは一切なく、ただ凛とそこに佇む。モノとしての重さではなく、その背後にある「時間」や「沈黙」を描いているかのようだ。

決して派手ではない。だが、視線を置くたびに少しずつ深く沈み込み、内面に響く余韻が増していく。そんな作品たちである。光の角度、影の質感、黒の密度が緻密に計算された世界は、まるで静寂そのものが形を持ったような存在感を放つ。

語らないこと、描きすぎないこと。その「余白」の中に、澄みきった静けさと、張り詰めた緊張感が共存している。霞城澪のアートは、まさに「沈黙の温度」を視覚化する試みであり、見る者自身の感覚を研ぎ澄ます鏡のような存在である。

コレクション: 霞城 澪